テニスコートの種類・特徴とテニスシューズの選び方

2023-02-02更新
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監修
ゴンちゃん
テニスベア・アンバサダー
慶應義塾大学ではレギュラー2番手として、全日本学生テニス選手権大会や全日本大学対抗テニス王座決定試合で活躍。卒業後はYouTuberとして活躍し一躍有名に。2020年12月よりテニスベア・アンバサダーとしてテニスベアに参画。

テニスコートは、表面の素材によって種類を分けることができます。この表面の素材や、その違いのことを、表面という意味の英語から「サーフェス」と呼びます。

サーフェスにはいくつかの種類がありますが、それぞれに特徴があります。ボールのバウンドの高さや速さは、このサーフェスによって全く変わってきますし、天候による影響も、それぞれ違っています。

こうした種類や特徴を理解することで、テニスプレイヤーは自身の強みを活かしたプレーを展開することができます。また、錦織選手のようなプロ選手のプレーを観戦するときも、サーフェスの特徴にあった戦略を垣間見ることができます。サーフェスの違いを理解し、これまで以上にテニスを楽しみましょう!

クレーコート

クレーコート

土でできた層の上に、より細かい砂が撒かれたコートです。もともと日本では、このクレーコートが主流でした。

他のサーフェスに比べて素材が柔らかいため、身体、特に足腰への負担が少ないと言われています。また、球速もサーフェスに吸収されるため比較的遅く、またバウンドが低いです。つまり、(ミスしない前提ですが)ラリーが続きやすいサーフェスでもあります。

しかし、雨には弱いサーフェスです。ある程度雨が降ってしまうと、プレーできるようになるまで、短くても数時間かかります。また、何もしないと地面が固くなってひび割れが発生するなど、メンテナンスコストも比較的高いと言えます。

比較的水はけがよい土を利用し、富士山の麓(山中湖)などにクレーコートが集中しています。日本でも有数のテニス合宿スポットとして知られています。

グランドスラムとも呼ばれる四大大会の中では、全仏(フレンチ)オープンでクレーコートが採用されています。日本のクレーコートとは違い、特に欧米では、レンガを砕いて作った粉(アンツーカー)が普及しています。

男子プロで言うと、やはり一番に名前が上がるのがラファエル・ナダルですね!フェデラーや錦織のように、球威がある選手のボールでも、ある程度の勢いはクレーコートに吸収されてしまいます。そのため、ラリー戦が得意なナダルが優位に立ち 、2019年現在で12回の優勝経験という異次元な記録を打ち立ててしまうわけです。

オムニコート(砂入り人工芝コート)

オムニコート

日本、特に都内近郊で最も多く見かけるのがオムニコートです。

「オムニコート」はもともと、テニスブランドとして有名なダンロップやスリクソンを手がける住友ゴム工業株式会社の製品名です。それ以外にも、東レの「スパックサンド」、三菱化成の「ダイヤサンド」がありましたが、現在最も有名になって残っているのが、オムニコートです。

オムニコートは、水はけが良いため雨に強く、「全天候型」などと称されることもあります。雨が降った場合、多少の水分を含むものの、すぐにプレーに影響を及ぼすものではありません。また、雨が止んだら比較的速く乾く点も大きなメリットです。

しかし、後述する現在世界の主流である「ハードコート」と比べると、球足は遅く、またバウンドも低いです。日本は比較的雨が多い国なので、このオムニコートが多く採用されますが、これが日本のテニスレベルが低いことの原因となっているといった意見もあります。

ハードコート

ハードコート

世界に目を向けると、現在の主流はこのハードコートです。四大大会の中でも、全豪オープンと全米オープンの2大会がハードコートで行われています。

ハードコートは、アスファルトやセメントを土台とした、その名の通り固いコートです。また、表面をコーティングする素材によって、球速やバウンドが変わってきます。選手にとっては、同じハードコートというサーフェスであるにせよ、それぞれに対策が必要なので大変ですね!

とは言え、他のサーフェスと比べれば「速い」コートなので、一般的にはフラット気味の速いボールや、弾まない低いスライス、ボレーは有効とされています。しかし、近年は柔らかいハードコートが出てきているため、ストローク戦が増えていることも事実です。

また、米国を中心に「Laykold(レイコールド)」という新しい製品の利用も増えています。2020年以降全米オープンにも採用されているレイコールドは、衝撃吸収性で他製品よりも優れているとされ、プレーする選手にとっては、身体への負担が少なくなっています。

全米オープンと全豪オープンの違い

グランドスラムの中では全豪オープンと全米オープンの2大会がハードコートで開催されていますが、見た目や素材が異なります。

全米オープンのコートは、ラインの内側が青、外側が緑というカラーリングです。とても観客との距離が近いことが有名で、応援にも熱が入ります。先ほども触れた「レイコールド」が使用されています。レイコールドは主にアメリカを中心に導入が増えており、全米オープンをはじめとして、ウェスタン&サザンオープン(シンシナティ)、マイアミオープンなどのATP屈指の有名ツアーから強豪大学のコートまで、利用が広がってきています。

一方全豪オープンは、2020年から「グリーンセット」という別の製品を採用しています。グリーンセットは、毎シーズンの戦績がよかった選手だけが出場できる最終戦ATPファイナルズでも採用されています。

いずれの大会も、大会主催者によって理想的な球速が指定されており、採用された製品側はその標準値に近づけるよう、構成する素材のバランスを変えるなどしてことで表面の硬さを調整しています。全米オープンの方がやや速く設定されているようですが、素材も違うので、どう感じるかは選手次第です。

大会 ハードコートの種類
全豪オープン 2019年以前:プレクシクッション
2020年以降:グリーンセット
全米オープン

2019年以前:デコターフ
2020年以降:レイコールド

ATPファイナルズ グリーンセット

有明テニスの森公園でのテニスコート利用が再開!(2019年11月17日追記)

現在、有明テニスの森公園では、2020年東京オリンピック開催に向けた改修工事を終え、一部コートを貸し出しています!ただし、今回の利用再開は期限付きなので注意が必要です。2020年1月以降は、オリンピックに向けた準備で再び利用できなくなります。 改修されたばかり&オリンピックでは世界中から集まるトッププロがプレーするコートでプレーするまたとないチャンスです。詳細は、東京都のウェブサイトをご覧ください。

有明テニスの森公園の改修工事後の一部利用再開について

グラスコート

グラスコート

ウィンブルドンと言えば、芝、つまりグラスコートです。四大大会のひとつとして採用されているものの、伝統的な意味合いが強く、現在は主流ではありません。

グラスコートはとても癖のあるコートで、且つシーズンが短いため、プロでも攻略が困難です。バウンドした後の球足は、全サーフェスの中で最も速いとも言われています。そうしたサーフェスで数々のタイトルを取ってきたフェデラーは、まさにオールラウンダーと言えるでしょう。

なお、日本にも、天然のグラスコートが2箇所だけあります(他にもあったらぜひ教えてください!)。ウィンブルドンには行けないけれど、芝でテニスをして見たいという方は、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか?

カーペットコート

カーペット

カーペットコートは、主にインドア(屋内)のテニススクールなどで採用されています。

カーペットコートは、その名の通りカーペットのような素材でできており、ほかのサーフェスと比べて表面が柔らかいのが特徴です。そのため、小さな子どもをはじめ、テニスを始めたばかりの方が万が一転んでも、怪我をしにくくなっています。

しかし、プレーヤーとしてはかなり対応が難しいサーフェスでもあります。球足はかなり速いですが、バウンドは低く、これまでご紹介したコートの中ではグラスコートに似ています。シューズも専用のものを使います。

スクール内を除き、大会等で使用されることはめったにないサーフェスですので、特段対策する必要はありません。ただし、球足の速さに慣れるには、適したコートだと言えます。

テニスシューズの選び方/履き分け方

ここまで解説してきた通り、テニスコートにはさまざまなサーフェスがあります。それぞれの特徴が異なるため、それらに適応する形でテニスシューズにもいくつかの種類があります。そのため、どのサーフェスを使用するかによって、シューズを適切に履き分けなければなりません。

世界中には各サーフェスに適したテニスシューズが存在しますが、日本で主流の3種類について解説します。

オールコート用テニスシューズ

主にハードコートで使用することを前提に作られているシューズです。その名の通り、他のコートも含めたすべてのシューズで使うことができますが、ハードコート専用と考えた方が適切でしょう。

オールコート用シューズを履いてオムニ・クレーコートでプレーすると、滑りやすく転倒のリスクもあります。またカーペットコートを採用するスクールによっては、カーペットを傷める可能性がある等の理由でオールコート用シューズの利用を禁止するケースもあるので注意しましょう。

オムニ・クレーコート用テニスシューズ

オムニコート、あるいはクレーコートを利用する場合、オムニ・クレー用テニスシューズの利用をおすすめします。この2種類のサーフェスは砂が細かいため滑りやすいのですが、そうした状態でもしっかりと踏ん張りが効くよう、靴底が細かいイボのような形に加工されています。

なお、ハードコートで履くと靴底がより早く擦り減ってしまい、買い替え頻度が高くなる、といったデメリットがあります。メインはオムニ・クレーコートで、ハードコートは年に数回程度...といったくらいなら良いのですが、定期的にいずれのコートでもプレーする機会のある方は、どちらも持っておくことをおすすめします。

カーペットコート用テニスシューズ

その名の通り、カーペット用シューズです。主にインドアのテニススクールなどでの利用に限られますが、他のサーフェスとは異なるため、専用シューズの利用をおすすめします。他のシューズに比べ、靴底が平らなのが特徴です。

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