テニスのフォアハンドストロークの打ち方をプロコーチが徹底解説
目次
テニスのフォアハンドは、試合中になんども使う、いわばテニスの基本となるショットです。一般的にはバックハンドに比べて得意な人が多く、打つ回数が多くあります。
しかし、練習でも試合でも同じように打てるような安定したフォアハンドを手に入れることは、決して簡単ではありません。正しい打ち方を覚えて、繰り返し練習することが大事です。
この記事では、世界で活躍する土居美咲選手の兄で、テニスコーチの土居諒太コーチに聞いた、フォアハンドの打ち方を動画をもとに解説します!ぜひ参考にしてみてください。
この動画は非常に長いため、時間のない方はこのままブログを読んでいただくことをおすすめします。時間のあるときにぜひ動画もご覧ください。
テニスにおけるフォアハンドの役割と重要性
フォアハンドは、攻守にわたって使いどころの多い、とても重要なショットです。そのため、しっかりと安定して打つための練習が必要です。
攻守にわたって必要なショット
フォアハンドは、利き腕で打つショットであるため操作性が高く、多くのプレーヤーが得意ショットとしています。回り込みフォアという言葉があるように、余裕があるボールはできるだけフォアで打つ、という場面がよく見られます。
ラリーの展開の中でも、こちらから攻める時、逆に攻め込まれて守る時、様々な時に使います。他のショットに比べて、打つ回数が多いショットです。
不安定になりやすい
打つ回数の多いフォアハンドですが、不安定になりやすいという特徴もあります。両手で打つことの多いバックハンドに比べ、基本的に片手で打つフォアハンドは、自由度が高すぎてしまうのです。
そのため、しっかりと基本的な打ち方を理解し、コツを覚えて練習しておきたいところです。
フォアハンドのコツ・ポイント:ユニットターンをマスターしよう
それでは、フォアハンドを打つ時のコツ・ポイントを解説していきます。一度にたくさん意識するのは難しいですが、しっかりとポイントを押さえましょう!
今回土居コーチが紹介するコツ・ポイントは、「ユニットターン」です。
ユニットターンとは
ユニットターンとは、下半身と上半身を連動させて、からだ全体でターンすることを言います。聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、体の使い方として非常に重要なポイントです。
からだ全体を連動させるため、ここまでにご紹介した左手と下半身を意識することで、より理想的な動きに近づきます。ユニットターンを実践することで、余計な力が入らず、からだ全体の力が使えるため、安定感やパワーが増します。
以下では、ユニットターンをするための細かいポイントをご紹介します。
ターン(横向きを作る)
ここでは、準備段階で横向きを作ることを「ターン」と呼びます。
左手(利き手とは反対の手)を利用
フォアハンドを打つ上で意識している人は少ないかもしれませんが、左手が重要な役割を果たしています。
右手が利き手の人にとって、フォアハンドは右手に意識が行ってしまいがちですが、実は左手でバランスを取りつつ、体を回す時に右手のサポートをしています。
試しに左手をポケットに入れて打ってみると、バランスが崩れたり、右手だけで打ってしまったり、うまくいかないことがわかります。全体のバランスが悪くなり、右手など、どこか無理に打ってしまう状態です。
バランスを取るために使う左手ですが、形は自由です。左手を出すことによって、肩が入っていることがポイントです。中には、錦織選手のようにみたいに左手の肘や腕が畳まれるようになっている人もいますが、肩が入ってるので良いスイングと言えます。
右手に意識がいってしまいがちな初心者は、左手を意識してみましょう!
横向きを作るために右足を重視
ボールを全身の力を使って打つためには横向きを作る必要がりますが、そのためには右足の踏み込む向きに注意する必要があります。前向きに踏み込んでしまうと、うまく横向きができず、結果的に体が使えずに手打ちになってしまうことがあります。
右足をしっかりと横に踏み込むことで、体が横を向きやすい姿勢を作ることを心がけましょう!この時、股関節と上半身の間にラケットが挟めるくらい、ぐっと溜めを作ることで、より下半身の力が伝わりやすくなります。
インパクト
ここまで準備について解説してきました。ここからはインパクトに向けた動きについて解説します。
右足の力を利用
準備ができたら、横向きから左前の方に体を回していきます。この時、準備段階で溜めた右足を蹴り上げるように使うことで、下半身の力を利用できます。
軸を意識
インパクトするときは、横向きから前向きになるよう、体を左側に回します。しかし、からだ全体で左側に回転してしまうと、体ごと左側に倒れてしまいます。これを防ぐために、回転の軸を意識しましょう。
横向き=90度から、前向き=0度まで回すとすると、45度あたりまでは、上半身を残しておくことを意識しましょう!そうすることで、インパクトから少しの間は体が開かないため、それが回転軸になります。
ターンするタイミング
ここまでユニットターンのやり方を説明しましたが、ユニットターンはどのタイミングで行えば良いのでしょうか。もちろん早いに越したことはないですし、打ち方によってずれはりますが、ネットを越えたタイミングと覚えておきましょう!早く準備をすることに慣れておくことが大切です。
また、ターンをしてから、ボールを打つ位置まで移動します。移動してからターンをして打つ、というように逆になっている人も多いので、注意しましょう。ターンをしてから移動する、という癖をつけることが大切です。
フォアハンドの練習方法
ここまで、フォアハンドの基礎であるユニットターンについて解説しました。今度は、実際にこれを習得するための練習方法をご紹介します。
その場で手出し練習
手出し練習は2人以上いて、ボールがあれば簡単にできますが、基本的な打ち方を習得するためにとても良い練習方です。ボールの力がない分、しっかりと自分の力を利用して打つ必要があるからです。
今回も練習方法は簡単です!打つ側はベースライン付近に立ち、球出し側は斜め前に立ちます。ワンバウンドで打ちやすいところにボールを出し、それをあまり足を細かく動かさずに打ちます。
このとき、しっかりと横向きを作ることと、体の軸がぶれないことを意識しましょう!しっかりとユニットターンができていれば、ボールがまっすぐ飛んでいきます。
ランダム球出し練習
ある程度体の使い方がわかってきたら、次は実際に飛んできたボールを打ちます。この練習も、2人以上いれば簡単にできます。打つ側はベースライン付近に立ち、球出し側はネットの反対側サービスライン付近に立ちます。
球出しは決して速いボールでなくてなくて良いのですが、フォアかバックかわからない状態でランダムに出すことがポイントです。打つ側は、どちらかわかったらすぐにターンし、その後インパクトする位置まで移動してスイングします。
この練習では、手出しの時に意識したユニットターンの基本的なことが動きながらできているかどうか、またターンしてから移動できているかどうかを意識しましょう!
テニス女子の悩み:振り遅れる
ここまで男女問わず当てはまる基本的なことを紹介してきましたが、特にテニス女子のみなさんに共通する悩みとして挙げられる、「振り遅れ」について解説します。
女性は、パワーを補うためにスイングが大きくなりがちで、テイクバックの時にラケットを後ろに引きすぎてしまうことがよくあります。さらにグリップがあつい場合、背中のあたりにラケットがあることも。ここから振ってこようとするために、結果的に振り遅れてしまうのです。
肘の位置
振り遅れを防ぐためにまず意識するべきなのが肘の位置です。基本的に肘は体の少し前にあります。ラケットを後ろに逃さないために、肘の位置を意識すると効果的です。
ユニットターンの意識
「テイクバックが小さくなるのはいいけれど、そうするとボールの威力がなくなる」
と思われるかもしれません。たしかにその通りなのですが、これまで無理に振ることで出していた力を、他で補わなければいけません。そんなときに登場するのがユニットターンです!
手だけなく、からだ全体の力を利用することで、テイクバックを大きくしなくても、威力のあるボールを打つことができます。ラケットは引きすぎず、体の回転だけで引くイメージを持つと良いでしょう。フォロースルーは大きくても構いません。
土居美咲選手はまさにこのイメージですね!
目の前に障害物があることを想定
練習方法のひとつとして、目の前に障害物があると想定しましょう。その障害物に当たらないように、くぐり抜ける意識を持つことで、余計にテイクバックすることを防いでくれます。
ターンして横向きをつくったあとに、その向きのまま窓拭きをするイメージを持ちましょう。詳しくは動画を見てみてください。
フォアハンドをはじめとして、各ショットの基本的な打ち方や練習メニューは、各記事にまとまっているので、ぜひご覧ください!
安定したフォームを手に入れよう
今回はユニットターンを中心に、フォアハンドを打つ時に意識すべきことや、基本的な打ち方をご紹介しました。
フォアハンドは攻守どちらの場面でも使う基本的なショットです。この記事で紹介したポイントを押さえて、安定したフォームを手に入れましょう!