テニスというとどうしてもヨーロッパのイメージがありますが、実はテニス大国として長い歴史を持つアメリカ。その地でグランドスラムの最後を飾るのが、8月末にニューヨークで開催される全米オープンです。

夏の開放感と、ニューヨークならではの華やかさが体験できます。

全米オープンとは

アメリカはスポーツ観戦が盛んな国ですが、全米オープンテニスも注目度の高い一大イベントのひとつです。8月最終月曜日にスタートし、翌々週の日曜日まで2週間かけて熱戦が繰り広げられます。

世界有数の大都市・ニューヨーク、世界最大の収容人数を誇るセンターコートと揃う全米オープンは、観客動員数や賞金総額がテニスツアーの中で最大と言われています。

5セットマッチのグランドスラムは試合時間が長くなりがちですが、全米オープンはグランドスラムでいち早く、1970年から最終セットにタイブレークを導入しました。ゲームカウントが6-6になった時点でタイブレークに突入します。他のグランドスラムよりも、選手の負担が少ないルールを採用しています。

ニューヨークは経済大国アメリカの中心地です。スポンサーも大企業が名を連ね、ユニークなイベントも開催されていて、まさに祭典です。ミュージカルやジャズ、ダンス、アートといったエンターテインメントのお国柄、娯楽要素も楽しめます。BGMなども賑やかで観客もノリノリですから、恥ずかしさは捨てて他の観客と一緒に盛り上がりましょう!

全米オープンの開催都市と会場

世界有数の大都市・ニューヨークは、世界経済の中心地とも言われています。冬は寒さが厳しいニューヨークですが、全米オープンの時期は夏の終わり。世界各国から訪れる観光客とともに、ニューヨーカーも開放的な気分を味わえます。

ニューヨーク

ニューヨークは、言わずと知れた観光地です。金融の中心地として知られるウォール街や、国際連合本部ビルといった世界の中枢機関もあります。

政治・経済・金融・文化・スポーツ・観光などすべての分野において、世界を牽引している大都市です。交通機関も24時間動いていて、「眠らない街」という表現がピッタリ。超高層ビルが林立する光景も美しいものです。

一方で、緑豊かな公園もあります。中でも、セントラルパークは有名ですね。きちんと整備された都会のオアシスでは、野生動物に出会えるかもしれません。

ニューヨークには野球・バスケットボール・アイスホッケー・アメフトなど様々なスポーツのチームが本拠地を置き、年間を通して試合が行われています。スポーツ好きな方には魅力的な場所でしょう。

全米オープンが行われる8月末から9月初めは30度を超える日もあり、蒸し暑いと感じるかもしれません。ただ気温差が激しい時期でもあるので、薄手の長袖や羽織るものは用意しておいたほうがいいでしょう。

USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター

ニューヨークメッツの本拠地・シティ・フィールドの隣に、全米テニス協会が運営する「USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター」があります。ここが全米オープンの会場です。

「ビリー・ジーン・キング」とは、1960年代から80年代に活躍したアメリカの女子プロテニス選手の名前です。キャリアグランドスラムも達成しています。

フラッシング・メドウズ・コロナ・パークという広大な公園の中にありますが、この公園は1964年・1965年のニューヨーク万博の跡地でもあります。よくテレビに映る巨大な地球儀は、万博の際に造られたものです。

パーク内には湖や自転車道、美術館や科学館など、憩い・スポーツ・文化と様々に楽しめる施設が整っています。USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター内にはテニスコートが22面ありますが、隣の公園にも11面あります。

マンハッタンからは地下鉄で45分ほど。会場の最寄り駅のMets-Willets Point駅からはボードウォークを歩いて10分ほどで会場に到着します。迷うことはないとは思いますが、駅の出口を間違えると、テニスコートではなく野球場に行ってしまうのでご注意を。

開催期間中、会場内にはたくさんの飲食ブースが並びます。アメリカらしいハンバーガーやサンドウィッチなどの軽食、アルコールも楽しめます。テニスグッズやお土産を購入できるショップもあります。

なお、2020年の新型コロナウィルス感染症が流行した際は、臨時の病院としても使われました。

全米オープンの歴史

現代のテニスの形はヨーロッパから広がっていったという歴史があり、テニスの本場と言えばヨーロッパを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、実はアメリカも伝統あるテニス大国なのです。

最初のテニス大会であるウィンブルドン選手権は1877年に、全仏オープンは1891年に始まりましたが、全米オープンの前身は1881年に行われた全米選手権です。ウィンブルドンとほぼ同時期に、そして全仏オープンよりも先に、全米オープンの歴史はスタートしています。

歴史だけでなく、アメリカは成績もしっかりと残しています。国別対抗戦では男子も女子も、第一回から優勝していますし、優勝・準優勝回数もアメリカが一番多いのです。また、レジェンドと言える選手も多く輩出しています。

一回目が行われた1881年当時は、アメリカ・ナショナル・ローンテニス協会に加盟するテニスクラブ会員のみが出場できるアマチュア大会で、男子シングルスと男子ダブルスのみでした。女子シングルスは1887年、女子ダブルスは1889年、ミックスダブルスは1892年から開催されています。

開催地はそれぞれ違っていたのですが、1942年にニューヨークのウェストサイド・テニスクラブに全部門がまとめられました。しかし、1947年には再び別々の場所に散らばることになります。

5部門がまた一緒になったのは、1968年の全米オープンからです。全米選手権にプロ選手も参加できるようになってオープン化となり、再度、ウェストサイド・テニスクラブに全部門がまとめられました。最初はグラス、次にクレーと、サーフェスの変更があったのも全米オープンの特徴です。

その後、観客の増加に伴って対応できなくなり、今の地に「USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター」が造られたのです。サーフェスも、ハードコートとなりました。

サーフェス

全米オープンは「デコターフ」という種類の鮮やかな青のハードコートでしたが、2020年より変更になりました。新しいサーフェスは「Laykold」というブランドで、マイアミオープン等で使用されています。

全米オープンでサーフェスが変更されるのは実に42年ぶりです。今までのコートよりも、球速が遅くなるのだとか。選手にとっては大きな違いであることは間違いないので、それまでの優勝者と傾向が変わることもあるかもしれませんね。

各施設の名称

最大の観客人数を誇る全米オープンの会場は、アメリカらしく、スケールが大きいところです。歴代チャンピオンののぼりやレジェンドのモニュメントなど、会場に入ったとたんに気分が盛り上がるでしょう。5年をかけて改修され、会場全体が生まれ変わりました。

アーサー・アッシュ スタジアム

全米オープンのセンターコート「アーサー・アッシュ スタジアム」は、1960年代から70年代に活躍したアメリカの男子プロテニス選手「アーサー・アッシュ」の名前を取っています。収容人数は23,771人と、ツアーで最大規模のスタジアムです。

すり鉢状の最上段から観戦すると選手がとても小さいので、もし遠い席から観戦する場合は、双眼鏡を持参することをおすすめします。その代わりと言ってはなんですが、コート外の眺めはとてもよく、きれいなニューヨークの街並みを楽しめます。

また、アーサー・アッシュ スタジアムのみ全席指定席です。しかし、このチケットを持っていると、座席に空きがあれば他のコートも観戦できるようになっています。なお、2016年には開閉式の屋根が取り付けられました。

ルイ・アームストロング スタジアム

セカンドコートの名称は、「ルイ・アームストロング スタジアム」です。アメリカのジャズミュージシャンの名前を取っています。

2018年に建て替えられた一番新しいスタジアムで、開閉式の屋根が付き、座席数も増えました。14,061人を収容できます。また、テニススタジアムで世界初となる自然換気システムも設置されました。一部が指定席ですが、自由席もあります。

グランド・スタンド

2016年に新しくなったグランド・スタンドは、8,125席あるショーコートです。コートサイドは指定席ですが、後方は自由席になっています。アーサー・アッシュとルイ・アームストロングのチケットがあれば、自由席で観戦できます。

サウスプラザ

アーサー・アッシュ スタジアム前の広場がサウスプラザです。よくテレビでも中継される大きな噴水があり、バンド演奏などが披露されています。巨大スクリーンも設置されているので、ここでのんびりと観戦というスタイルも粋です。

アッシュの像

サウスプラザに立つ像は、アーサー・アッシュをモデルにした「アッシュの像」です。彼の魂を具現化している像なのだとか。アーサー・アッシュは、黒人プレーヤーの先駆者と言われています。

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