テニスのグランドスラム(四大大会)とは?各大会の詳細やキャリアグランドスラム達成者を解説

2022-10-03更新
32,966
監修
ゴンちゃん
テニスベア・アンバサダー
慶應義塾大学ではレギュラー2番手として、全日本学生テニス選手権大会や全日本大学対抗テニス王座決定試合で活躍。卒業後はYouTuberとして活躍し一躍有名に。2020年12月よりテニスベア・アンバサダーとしてテニスベアに参画。

プロテニスのツアーでは、一年間を通してたくさんの大会が行われています。

選手たちはランキング上位を目指すために戦っていますが、ランキングを上げるにはポイントを獲得しなければなりません。それぞれの大会で獲得できるポイントは異なり、たくさんポイントがつく大きな大会ほど上位の選手もみんな出場するため、優勝が難しくなります。

その中で、最もポイントが多く、歴史ある大会が「グランドスラム」と言われる4つの大会です。

グランドスラム(四大大会)とは

グランドスラムとは「全豪オープン・全仏オープン・全英オープン・全米オープン」のことで、4大大会とも呼ばれます。どれも100年以上の歴史を誇る、由緒ある大会です。

また、少しややこしい話なのですが、この4大大会すべてで優勝することも「グランドスラム(を達成する)」と言います。大変な栄誉のあることです。

グランドスラムの重要性

男子も女子も、ツアーにはたくさんの大会があります。しかし、その中で四大会だけがグランドスラムと呼ばれる理由はなんなのでしょうか。

獲得ポイントと賞金

男子プロテニス協会(ATP)のツアーは、ATP250・ATP500・ATP1000と付く大会が行われており、数字はそれぞれ優勝すると獲得できるポイント数を表しています。ATP1000の大会で優勝すれば、1,000ポイントが入るというわけです。女子テニス協会(WTA)も同じように大会ごとにもらえるポイントが決まっており、最大は1,000Pです。

しかし、それがグランドスラムでは、優勝者には2,000ポイントが付与されます。グランドスラム以外の大会とは比でないくらいのポイントを獲得できます。グランドスラムでベスト16やベスト8でも、他の下位大会で優勝するよりも多くポイントが入るので、とても重要なのです。

ポイントだけでなく、賞金もかなりのもの。シングルスで優勝すると、3億円前後の賞金が出ます。全米オープンは、約4億2,300万円という莫大な金額がもらえます。

その他の特徴

そういった大会であるため、規模はとても大きいです。

多くの大会は男子と女子と別々の地で開催されますが、グランドスラムは男女シングルス・ダブルス、混合ダブルス、車いすテニスとすべてが同じ場所で行われます。そのため、選手も観客も多く集まります。

開催期間も、他の大会はおおよそ1週間ですが、グランドスラムは2週間と長く設定されています。また男子シングルスは、5セットマッチで行われる過酷な大会でもあります(他は3セットマッチ)。

そういった大会だからこそ、選手たちはグランドスラムで一回でも多く勝利することを目標としているのです。

グランドスラムのそれぞれの特徴

グランドスラムと一口に言っても、4つの大会は開催地も開催時期も歴史もいろいろと違うので、大会ごとに特徴があります。(※2020年春時点)

全豪オープン

全豪オープンは、シーズン初めのグランドスラム。1月中旬から、オーストラリア・メルボルンで行われます。1月と言っても南半球なので、真夏です。

サーフェスはハードコート。賞金総額は7,100万豪ドル(約53億8,000万円)で、シングルスの優勝賞金は412万豪ドル(約3億1,000万円)です。

ファイナルセットは、「6-6」になった場合は10ポイントタイブレーク(スーパータイブレーク)が採用されています。

全仏オープン

5月下旬から始まる全仏オープンは、フランス・パリ郊外のローランギャロスという会場で開催されます。センス溢れる土地柄からか、全仏オープンの大会グッズは一番人気があるのだとか。

サーフェスはクレーコートで、赤土/レッドクレーと呼ばれています。クレーキングと称されるナダルが得意とするコートです。賞金総額は4,266万ユーロ(約52億1,500万円)で、シングルスの優勝賞金は230万ユーロ(約2億8,000万円)です。

ファイナルセットは、アドバンテージセットが採用されています。

全英オープン

「ウィンブルドン」と呼ばれる、歴史と格式のある大会です。6月下旬から7月にかけて、イギリス・ロンドンで開催されます。全身、白のウェア着用(練習時も)など、ウィンブルドンにしかない決まりがあります。

サーフェスはグラスコート。テニス選手の憧れとも言えるウィンブルドンのセンターコートは、この大会のときしか使用されません。大会期間の2週間のために、一年をかけて天然芝を管理しているそうです。

天然芝は試合を重ねるごとに傷んでいくため、初日と最終日のコートコンディションが変わるのもこの大会の特徴でしょう。賞金総額は3,800万ポンド(約54億3,000万円)で、シングルスの優勝賞金は235万ポンド(約3億3,600万円)です。

ファイナルセットは、「12-12」からタイブレークとなります。

全米オープン

8月下旬に始まる全米オープンは、グランドスラムのトリを飾ります。テニス大国のひとつであるアメリカはニューヨークで行われます。

スポーツ観戦文化の発展しているアメリカならではのお祭りのような雰囲気があるのが特徴です。選手と観客の距離が近いとも言われ、たくさんのファンが押し寄せます。世界最大規模のセンターコートは、2万3千人以上を収容できます。

サーフェスはハードコート。賞金総額は約5,700万米ドル(約62億6,500万円)で、シングルスの優勝賞金は385万米ドル(約4億2,300万円)です。

ファイナルセットは、「6-6」からタイブレークとなります。

グランドスラム達成者

「グランドスラム」には、4大大会すべて優勝することも指すと説明しました。ここからは、名誉のあるグランドスラム達成者をご紹介します。

生涯グランドスラム(キャリア・グランドスラム)

選手生活の中で4大大会をすべて制覇することを「生涯グランドスラム」と言います。2020年春現在、今までに男子シングルスでは8名、女子シングルスでは10名の選手がキャリア・グランドスラムを達成しています。

長きにわたって現在のテニス界を牽引しているロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ、そして女子のセレナ・ウィリアムズもキャリア・グランドスラム達成者です。

アンドレ・アガシ、マルチナ・ナブラチロワやシュテフィ・グラフなど、その他のグランドスラム達成者も、テニス史に名を残している選手ばかりです。

年間グランドスラム

シーズン一年間でグランドスラムを達成した場合は「年間グランドスラム」と言われます。

現役最強との呼び声高いフェデラーやジョコビッチですら達成できていない年間グランドスラムを達成することは、困難を極めます。

年間グランドスラムの達成者は、男子では、1938年のドン・バッジ、1962年と1969年の2回も達成したロッド・レーバーの2名だけです。女子は、1953年のモーリーン・コノリー、1970年のマーガレット・スミス・コート、1988年のシュテフィ・グラフの3名です。

ちなみに、ロッド・レーバーとマーガレット・スミス・コートはともにオーストラリアの選手なのですが、2人の名前が全豪オープンのコートに付けられています。

センターコートが「ロッド・レーバー・アリーナ」で、第一コートは「マーガレット・コート・アリーナ」と呼ばれています。後世に渡って名前が残るということは、選手にとってとても名誉のあることですね。

ゴールデンスラム

上述したグランドスラムに加え、4年に一度開催されるオリンピックでの優勝を達成することを「ゴールデンスラム」と呼びます。グランドスラムですら非常に難易度が高いですが、さらに開催頻度が限られているオリンピックでの優勝が必要であり、まさに至難の業です。

2022年には、ウィンブルドンで悲願の優勝を飾り、見事生涯グランドスラムを達成した国枝慎吾選手が話題になりました。

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