テニス用語「ベーグル」とは

2022-12-07更新
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監修
ゴンちゃん
テニスベア・アンバサダー
慶應義塾大学ではレギュラー2番手として、全日本学生テニス選手権大会や全日本大学対抗テニス王座決定試合で活躍。卒業後はYouTuberとして活躍し一躍有名に。2020年12月よりテニスベア・アンバサダーとしてテニスベアに参画。

みなさんは、テニス用語の「ベーグル」を聞いたことはあるでしょうか?日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、最近では試合速報などのニュース記事でも時々見かけるようになりました。

リング状になっているパンであるベーグルですが、テニス界では何を表すのでしょうか。

 

テニスにおけるベーグルの意味

パンのベーグルの形を思い浮かべてみてください。真ん中に穴が空いていて、リング状になっています。リングのような形が、数字の「0(ゼロ)」のように見えます。

つまり、テニスにおいて得失ゲーム数が「6-0」、または「0-6」だったときのスコアのことを「ベーグル」と呼びます。スコア上で大差がついたときに使用される言い回し、いわゆるスラングです。

そもそもパンのベーグルは、日本ではあまり馴染みがありませんが、欧米では昔からパンの種類として日常生活に浸透しています。そのため、こうした表現が使われるようになりました。日本ではあまり浸透していません。

ただし、あくまでスラングなので、例えば6-0で勝った相手に言うと失礼に当たる場合もあります。また、当然ながら公式な場ではなかなか使われません。

ベーグルの使い方

「6-0」で完勝したら「ベーグル」と呼ばれるわけですが、「4-0」や「5-0」など、そろそろ1ゲームも取られないかもしれないと予想できる状況のときに使われる言い方があります。それは「(ベーグルの)香ばしい匂いがしてきた」と表現されます。ユーモアがあって、おもしろい表現です。

そのまま「6-0」となったら「ベーグルが焼けた」、「ベーグルを食らう・食らわせる」といった使い方をします。勝った側にとっては誇らしく、負けた側にとっては屈辱的なものです。

また、「ベーグル返し」という表現もあります。全仏オープン2017年の4回戦、錦織 vs ベルダスコ戦で、錦織選手は第1セットを「0-6」で落とし、ベーグルを食らってしまいました。しかし、その後のセットを連取し、第4セットでは逆に「6-0」で取って、錦織選手が勝利しました。このようにベーグルを食らった後に相手にベーグルを食わせることを「ベーグル返し」と呼びます。

他にも、大坂なおみが優勝して日本中が盛り上がった2018年の全米オープン、3回戦は「6-0、6-0」で圧勝でした。このスコアは「ダブルベーグル」と称されました。試合後のインタビューでもスコアについて質問があがりましたが、大坂はいつも試合の前にベーグルを食べるなどと回答し、話題となりました。

日本での言い方

日本でもベーグルに相当する表現があります。テニスをする方であれば「ダンゴ」という表現を聞いたことがあると思います。

ダンゴもベーグルと同じ意味で、またその形が「0(ゼロ)」に似ていることからきています。「試合結果どうだった?」という質問に対して「ダンゴだったよ」と言ったり、「ダンゴを食らう/食らわせた」と言います。

「ベーグル」にしても「ダンゴ」にしても、同じ食べ物で喩えられていることは、ユーモアがあっておもしろい点です。ベーグル同様、ダンゴも使い方によっては相手に失礼な表現になってしまうため、使い方には注意しましょう!

ジョコビッチでもベーグルを食らったことがある!?

現在の男子テニス界で絶対王者として君臨しているジョコビッチ。レベルの高いプロの試合でも、もちろんベーグルを食わらせたことは何度もあります。反対に、どれだけ調子が悪くても着実にゲーム数を重ねることができる選手なので、ここ最近ではベーグルを食らったことはないだろうと思いますよね。

しかし、そのジョコビッチでも、何度かベーグルを食らったことがあります。最近のメジャーな大会では、2017年の全仏オープンの準々決勝で、ティームに「6-7、3-6、0-6」、2019年のBNLイタリア国際の決勝でナダルに「0-6、4-6、1-6」で、それぞれベーグルを食らって負けています。

そして、実は錦織選手もジョコビッチに対してベーグルを食らわせたことがあるのです。少し前ですが2011年、スイスインドアの準決勝で「2-6、7-6、6-0」でジョコビッチを破り、錦織選手が決勝に進出しました。ジョコビッチは当時肩を故障していたとのことですが、当時1位のジョコビッチに、まだトップ選手と言われるようになる前の32位の錦織選手がベーグルを食らわせて勝ったのですから、ビッグニュースです。

プロテニスの試合は接戦が多いように感じますが、ときに運や体の調子なども影響してかベーグルになることもあります。接戦のほうが見ていても興奮しますが、下位選手がトップ選手にベーグルを食らわせたり、ベーグルで負けていたのにベーグル返しで逆転したりと予想外のドラマティックな展開が繰り広げられるのもテニスのおもしろさのひとつでしょう。

みなさんも慣れてきたら、ぜひベーグルを使ってみてください!

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