テニス界のビッグ4とは

2022-12-30更新
30,736
監修
ゴンちゃん
テニスベア・アンバサダー
慶應義塾大学ではレギュラー2番手として、全日本学生テニス選手権大会や全日本大学対抗テニス王座決定試合で活躍。卒業後はYouTuberとして活躍し一躍有名に。2020年12月よりテニスベア・アンバサダーとしてテニスベアに参画。

スポーツ界を中心に、その時代を席巻する偉人たちを総称して、「ビッグ○」と呼びます。現在の男子テニス界にもそういった4人の選手が存在します。他の選手ももちろん素晴らしいのですが、4人の戦績があまりにも突出しているため、ビッグ4と呼ばれているのです。 この記事では、男子テニス界が誇るビッグ4について、実力や名場面を含めてご紹介します。

テニスのビッグ4とは

現在の男子テニス界には、他の選手に圧倒的な差をつけビッグ4と呼ばれる4選手が存在します。年齢順にフェデラー、ナダル、マレー、ジョコビッチです。 もちろん過去にも、その時代に大活躍した選手というのは存在しました。しかし、歴代のグランドスラム最多優勝記録の1、2、3位がいまだ現役選手であるビッグ4のうちの3人が独占し、またグランドスラムのベスト4では度々ビッグ4が勝ち残るという偉業を達成しており、歴史的に見ても偉大な4人なのです。 そんなビッグ4ですが、4人それぞれに特徴があります。以下では4人の詳細を見ていきます。

ロジャー・フェデラー

ビッグ4最年長で、41歳を迎える2022年に引退するまで、テニス界の生きる伝説と呼ばれていた選手です。この年齢でありながら、キャリアの最後までトップレベルで活躍していました。 「史上最高のオールラウンドプレイヤー」と称されるように、すべてのプレイにおいて高レベルの技術を持っています。引き出しが多く、相手によってプレースタイルを変えられるので、対戦相手からするとまったく隙のない選手に見えるでしょう。 フェデラーは数えきれないほどの記録をすでに樹立しました。歴代単独1位在位記録、4大大会完全制覇(キャリア・グランドスラム達成)、史上初のグランドスラム300勝達成、グランドスラム最多優勝(20回)などなど...いかに優れた選手であるかがこの結果からわかります。

戦績のみならず、フェデラー自身の人間性が世界中のファンから高く評価され、現代テニス界を象徴する存在です。

ラファエル・ナダル

フェデラーと長年ライバル関係にあるスペイン人選手です。幾度となく怪我に苦しむも何度も奇跡の復活を果たしてきました。サウスポーから繰り出す「エッグボール」と呼ばれる強烈なトップスピンと驚異的なフットワークを武器に、特にクレーコートでは無類の強さを発揮します。 ナダルもキャリア・グランドスラムを達成しており、グランドスラムの優勝回数も19回とフェデラーに肉薄しています。加えてナダルは、ビッグ4の中で唯一キャリア・ゴールデンスラムを達成しています。 得意サーフェスのクレーコートである全仏オープンでは、連覇を含めて12回もの優勝を飾っています。クレーキングが代名詞にもなっています。

アンディ・マレー

マレーはイギリス出身のオールラウンダーです。地元選手として77年ぶりにウィンブルドンの優勝者となった、元世界ランキング1位保持者でもあります。ミスの少ないグランドストローク、迅速かつ的確な攻守の切り替えを武器としています。 4大大会ではウィンブルドン2度の地元優勝を含む3回の優勝経験があり、オリンピックではロンドン、リオデジャネイロとシングルスで男女を通じて初のオリンピック連覇の快挙を達成しています。 また、1歳年上のジェイミー・マレーはダブルス巧者として知られています。アンディ・マレー自身も、シングルスで活躍する前はダブルスでも活躍しており、ボレーなどのネットプレーも得意としています。 しかし、臀部の故障が原因で一度はシングルスの引退表明をしており、近年は戦績も低迷しています。

ノバク・ジョコビッチ

「芝の王者」と呼ばれるフェデラーをウィンブルドンで破り、「赤土の王者」と呼ばれるナダルを全仏オープンで破り、今や現役最強の選手と言っても過言ではない存在がジョコビッチです。 機械のように正確無比なストロークと、柔軟な体を生かしたコートカバーリング、そして無尽蔵のスタミナも持ち合わせています。シングルスマッチ勝利数で、フェデラーとナダル両選手に勝ち越している唯一の選手で、キャリア・グランドスラムもすでに達成しています。 さらには、年間9大会開催されるマスターズ全制覇(ゴールデンマスターズと呼びます)の偉業を史上初めて達成した選手でもあります。さまざまなサーフェスで優勝できる、まさに新時代のオールラウンダーと言っても過言ではありません。 その強靭な肉体を、ストイックな食生活により実現していることでも有名です。グルテンや肉をに抜いて体調を維持しています。

近年はビッグ3とも

2018年1月に臀部(腰)の故障による手術を受けたマレーは、長期にわたる戦線離脱の後、復帰と治療による離脱を繰り返し世界ランキングも200位以下にまで陥落しました。昨年に現役引退を決意したことから、近年ではビッグ4は崩壊し、マレーを除く3選手を表すビッグ3と言う呼び方が多く使われています。 一度は引退を表明したマレーですが、その後復帰を果たしおり、以前のような結果は出せていないものの、復帰後の大会でワウリンカを破るなど、確実に調子も戻してきています。

ビッグ4の名場面ベスト3

2006年頃の「芝の王者フェデラーvs土の王者ナダル」のライバル関係から始まり、それまではまったく歯が立たなかったジョコビッチとマレーがそれぞれ2011年、2012年くらいから加わって、4人は黄金時代を迎えました。 ATPツアーの優勝者のほとんどを、プレースタイルもキャラクターも異なる、この4人が独占する時代が続いたのです。そんなビッグ4はなんども対戦していますが、その中でも厳選した名場面ベスト3をご紹介します!

第3位:2019年のウィンブルドン決勝(フェデラー対ジョコビッチ)

決勝では、大会第1シードのジョコビッチと第2シードのフェデラーという順当な顔合わせになりました。とても長い試合で印象も強く、まだ筆者の記憶に新しい対戦です。 結局2つのマッチポイントをしのぎ、ウィンブルドンのシングルスでは初となる最終セットのタイブレークを取って勝ったのはジョコビッチでした。激闘の試合時間は、同大会の決勝としては史上最長の4時間57分。30代の2人の試合時間とは思えません。 ジョコビッチは2年連続5度目の優勝を飾りました。なお、この結果としてビッグ3によるグランドスラム制覇は11大会連続となりました。 3選手以外で最後にグランドスラムを制したのは、2016年の全米オープン決勝でジョコビッチを破ったスタン・ワウリンカ(スイス)まで遡ります。驚異的です。

第2位:2012年のウィンブルドン決勝(フェデラー対マレー)

この大会のクライマックスと言ってもいいのが、王者フェデラーの前に準優勝に終わったマレーの試合後のインタビューではないでしょうか。 当時世界ランキング4位ながら四大大会の優勝経験がなく、地元イギリス人優勝の期待がかけられていたマレーは、決勝まで進んだものの、フェデラーに負けてしまいます。 試合後のインタビューでは、大観衆を前に涙で言葉を詰まらせ「これからも頑張るけど、簡単じゃないんだ」と発言。プレッシャーに耐え、期待に応えようと精一杯努力したその姿に、その場にいた観客だけでなく、筆者を含めてテレビの前の多くの人が感動を受けたはずです。 その後のマレーの活躍は目覚ましく、翌月に開催されたロンドン・オリンピック決勝でフェデラーに完勝し、同年の全米オープンでは念願の四大大会初優勝を飾りました。 さらに、翌年2013年のウィンブルドン決勝でジョコビッチを破り優勝。フレッド・ペリー以来となる地元選手のチャンピオン誕生に会場は歓喜に包まれました。

第1位:2008年のウィンブルドン決勝(フェデラー対ナダル)

やはりこの試合抜きには、フェデラーとナダルは語れないでしょう。 当時ウィンブルドン6連覇を狙う世界ランキング1位のフェデラーと、22歳で全仏オープン4連覇中の世界ランキング2位のナダルという3年連続で同じ組み合わせの決勝戦となりました。2年連続でウィンブルドンのタイトルをナダルから守ってきたフェデラーでしたが、年初にかかった病気による練習不足もあり、ナダルに2セットダウンまで追い込まれてしまいます。 フェデラー曰く「毎回毎回バックハンドを執拗に攻められ、他の選手なら一撃でラリーを終了できるフォアハンドも驚異のフットワークで拾われ、強烈なスピンボールをくらわせられる」。それでも絶体絶命のピンチから、芝の王者の意地でフルセットに持ち込みます。 途中長時間の雨天中断も影響し、最終セット9-7でナダルがフェデラーを破り、ウィンブルドン初優勝を飾りました。試合時間はウィンブルドン決勝戦で当時史上最長記録となる4時間48分でした。まさに死闘です。 最終2ゲームを観るだけでも興奮しますので、ぜひご覧ください。もちろん時間があれば、ぜひ最初からご覧ください。

芝の王者としてのフェデラーのプライドと、それに必死に食らいつくナダル、そして両選手のフェアプレーに惹きつけられるファンの応援が、とても感動的な雰囲気を醸し出していました。筆者は中学校の試験前日(というか日付はとっくに変わって当日)にもかかわらずテレビに釘付けになっていたのを、今でも思い出します。 決勝戦が行われるセンターコートは、翌年の2009年に開閉式の屋根が取り付けられたため、決勝戦でこの試合のような長時間の雨天中断はなくなりました。しかし、その内容の濃さゆえ、今も語り継がれている名勝負と言って間違いないでしょう。

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