テニスにおける各国コロナウイルス対策ガイドライン
はじめに
現在世界中でCOVID-19、いわゆるコロナウイルスが蔓延し、あらゆる行動が制限されています。テニスもその影響を受けており、公営施設も閉鎖になっているため、私たち一般テニスプレーヤーはテニスができない状況が続いています。 そうした中、日本よりも早く感染拡大と収束が見られるいくつかの国では、その国のテニス協会を中心に、コロナウイルス等の感染症に十分対策した上でテニスをするためのガイドラインが発表され始めています。 もちろん日本でテニスをする場合には、まず日本及び各地方自治体のルールとガイドラインに従う必要があります。5月4日に発表された、「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」*1 においても「新規感染者数が限定的となり、対策の強度を一定程度緩められるようになった地域」とした34県での「新しい行動様式」の実践例が示されています。他方で、コロナウイルスの特徴については各国共通なので、他国のガイドラインであってもプレイする場合の参考になる点はたくさんあります。どういった点に気をつけてテニスをすればよいのでしょうか。 この記事では、そうした海外の事例をご紹介します。なお記載したものは出典にも示した通り各国の協会の公表をもとにしていますが、各協会が作成時点において判断・考慮したものを記載するものであり、変更される可能性があります。また、現時点で日本におけるテニスのプレーそのものを推奨するものでありません。現状ではガイドラインが比較的早く整えられたアメリカ(United States Tennis Association *2)とオーストラリア(Tennis Australia *3)を中心にご紹介しています。
プレーヤーの観点
まずは、多くのテニスプレーヤーのみなさんが気にしているであろう、プレーヤーの視点でご紹介します!ほとんどのガイドラインでは、プレー前やプレー中など、テニスをする中での場面ごとに守るべき点、気をつけるべき点が分類されています。
テニスをしてもよい環境下にあるかどうか確認する
テニスをする前に、そもそも自分や一緒にテニスをする人が「テニスをしてよい」のか、またその自治体ではテニスをすることが許可されているのか、といった点を確認します。
- 米国
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- 住む地域においてプレーが許可されているか確認する
- 最低でも3週間のトレーニング期間を設けてから試合に復帰する
- 家族や同居人、もしくは重症化のリスクが低い人と一緒にプレーする
- 下記に該当する人はNG
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- コロナウイルスと思しき症状が出ている人
- コロナウイルス感染者と過去14日以内に接触した人
- 重症化のリスクが高い人
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- オーストラリア
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- 下記に該当する人はNG
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- 過去14日間にコロナ感染者と接触した人
- 過去14日間に海外渡航した、あるいはコロナに感染した人
- インフルエンザのような症状がある人
- 重症化のリスクがある人
- テニスをすることにおいてコアに関わる者(プレーヤー、コーチ、運営管理者)である
- 小さな子供の親/保護者である(ただし1人のみ)
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プレー前に気をつけるべきこと
テニスをすると決まったら、テニスコートに入るまでに注意すべき点を確認します。ここでも、できるだけ他人や共有物に接触しないことが求められています。
- 米国
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- 待ち合わせ時間ギリギリに着く
- コートに行く前に石鹸で20秒以上手を洗う
- テニス用品(ラケットや水筒)をきれいに拭く
- ラケットやグリップ、帽子などあらゆる道具は自分のものを使う
- (水道の蛇口などに触らずに済むよう)水筒をを持参する
- 以下は可能な範囲で対応
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- 新しいグリップ・ボールを使う。
- 手袋をするなどさらなる予防策も考慮する
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- 咳やくしゃみなどをする場合はティッシュ、もしくは上袖にする。
- オーストラリア
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- 待ち合わせ時間ギリギリに着く
- 手を洗う、または消毒する
プレー中/コート内に気をつけるべきこと
いよいよコートに入ってテニスをします。プレー中は夢中になりがちですが、基本的な感染対策を忘れないようにすることが大切なようです。米国のボールへの対策はユニークでおもしろいですね!
- 米国
- プレーヤー同士の間隔を2m以上に保つ
- 握手やハイタッチなどの接触を避ける
- ダブルスは予想外の接触や接近が起きやすいので、シングルスを優先する
- ダブルスは(ブライアン兄弟のような)チェストバンプや作戦会議をしない
- ラケットやボールに触れた手で顔を触らない
- 顔を触った場合、手をしっかり拭いてからボールに触れる
- ボールはラケットで拾って相手に渡す(極力ボールを手で拾わない)
- 他のコートからボールが来た場合も、同様にラケットを使って渡す
- チェンジコートしない
- 4〜6球使って、自分が触るボールと相手が触るボールを、印をつけるなどして明確に分ける
- 相手が触ったボールは、自分は触らない
- 相手のボールは、手は使わず、ラケットを使って相手に渡す
- オーストラリア
- 握手の代わりに、ラケットを触れさせる(握手しない)
- 他の人から1.5m以上の距離を保つ
- 顔に触れない
- 水筒を持参し、シェアしない
- 食べ物を口にする前後、トイレに行った後、くしゃみや席をする前後など、頻繁に手を石鹸で洗う、もしくは除菌する
- くしゃみや咳を覆い、使用済みのティッシュはすぐに捨てる
- 顔に触れない
- 体調の悪そうな人と距離を取る
- ドイツ *4
- プレー中は少なくとも他人と1.5m以上の距離を保つ
- 握手やハイタッチはしない
- チームでの練習も上記を厳守する
プレー後に気をつけるべきこと
プレーが終わった後に、注意すべきことを確認します。速やかに帰ることが大切なようです。 - 米国 - 迅速にコートから出る - コートを出たのち、念入りに手洗いする - ロッカールームは使わない、シャワーは自宅で浴びる - プレー後に集まってご飯を食べない - オーストラリア - ネットやクランクなど、触れたものを消毒する
コート管理者の観点
ここまでプレーヤーの視点で気をつけるべき点をご紹介してきましたが、オーストラリアではテニスコート運営者向けのガイドラインも発表されています。テニスプレーヤーのみなさんにとっては、こうした対策が取れているコートを利用するというのも、ひとつの観点になるでしょう!
- オーストラリア
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- コミュニティを避け、臨時スタッフを雇い、1対1で指導を行う
- 道具をしっかりと消毒するため、各コマの間に15分の入れ替え時間を設ける
- 1コートに入れる最大人数を2人(シングルスのみ)に制限する
- できれば2コートごとに使う(1コートは使用せずに空ける)などして、各グループ間の距離を10m以上空ける
- コロナ対策を促進し、模範となる
- プレーヤーやスタッフの接触を極力避けるよう仕組みを整える
- 社会的な集まりを延期する
- スタッフやボランティアの休暇が増える計画を立てる
- (施設内での)実施対策をチームや利用者に共有する
- 利用者とその行動詳細を記録しておく
- キャッシュレス決済を行う
- 営業時間内はゲートを開けたままにし、利用者がハンドルを触らなくてよいようにする
- Book Court(タッチパネル式の予約管理機)を設定している際は、消毒設備を整え、利用者が使用するたびに消毒できるよう注意喚起を行う
- ドイツ *4
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- 更衣室・洗面所等の衛生施設の使用も、厳格に法規定に基づいて管理する
- ベンチは1.5m以上の間隔を空けて配置する
- 消毒液を設置し、使い捨てペーパータオルのみを使用するようにする
- 各地域テニス協会はすべての規制を確実に厳守するため、コロナ担当責任者を任命する
- クラブハウスレストランの使用は、ケータリング業界に適用される法的規制に基づいて管理する
出典
- *1 厚生労働省:May 4 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」"9ページに「新しい生活様式」の実践例として簡単ですが、娯楽・スポーツ等のカテゴリーがあります”
- *2 United States Tennis Association:April 22 「Playing Tennis Safely: Player Tips and Recommendations」"4月16日付の連邦政府による“Opening Up America Again”ガイドライン及び地方自治体や保健機関ガイドラインの基準を満たしている場合における、テニスをプレイすることに関する推奨事項として纏められています”
- *3 Tennis Australia:April 4「COVID-19-Community-Tennis-Guidelines-for-Continued-Play-Version-4.pdf」"各地域テニス協会の推奨事項を厳守の上、屋外テニスコートの適切な使用方法として纏められています”
- *4 Deutscher Tennis Bund e. V.:April 27「Was du als aktiver Tennisspieler jetzt wissen musst」"4月14日付にドイツテニス連盟が各政府機関に送ったレターに記載されている7つのポイントです。厳格に守ることでテニスの練習は可能としています”