テニスのBNLイタリア国際(ローマオープン)とは
目次
マドリードオープンの翌週に開催されるイタリア国際は、3大会あるクレーコートでのマスターズ1000の最後であり、全仏オープン直前の大会です。ポイントを多く獲得できるマスターズ1000でありながら全仏オープンの前哨戦でもあり、男女の選手たちがしのぎを削ります。ローマで開催されることから、「ローマオープン」とも呼ばれています。
ローマオープンの概要
5月中旬にイタリアの首都ローマで開かれるローマオープンは、ATPは「マスターズ1000」、WTAは「プレミア5」のカテゴリーに入る大会です。
開催地 | ローマ(イタリア) |
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会場 | フォロ・イタリコ |
サーフェス | クレー |
開催時期 | 5月第3週 |
獲得ポイント | 1,000ポイント |
獲得賞金 | 総額:約521万ユーロ |
ドロー数 | シングルス:56、ダブルス:32 |
ローマオープンの開催地/会場
ローマオープンの開催地のローマは、言わずと知れた歴史的な街です。古代遺跡が数多く残り、狭いエリアで世界遺産巡りができます。映画の舞台としても有名で、見所はたくさんあります。イタリアンやジェラートなどの食も楽しめます。5月頃は過ごしやすい気候ですが、朝晩は冷えることもあるので羽織るものがあるといいでしょう。
ローマオープンの会場になっている「フォロ・イタリコ」は、モンテ・マリオの丘のふもとにあります。複合スポーツ施設として1928年~1938年にかけて造られた、ファシスト時代の代表的な建築物です。サッカーチームの本拠地として使用されている競技場やプール、陸上競技のトラックなどがあり、1960年のローマオリンピックのメイン会場にもなりました。
フォロ・イタリコには、屋外のクレーコートが11面あります。センターコートの収容人数は10,500人です。
ローマオープンの開催時期
ローマオープンは、5月中旬の日曜日に本戦がスタートします。決勝戦が行われる翌週の日曜日まで8日間、熱戦が繰り広げられます。
ローマオープンのサーフェス
陸上競技場などでも使用されている「アンツーカー」という、高温焼成したレンガなどを粉砕した赤土のクレーコートです。モンテカルロ・マスターズ、マドリードオープンの2つのマスターズ1000大会、および全仏オープンの会場も同じ素材です。
赤土には、滑りやすい、ボールが見えやすいといった特徴があります。また球足が比較的遅くなりやすく、ラリーが長く続きやすいという特徴があります。
ローマオープンの獲得ポイント/獲得賞金
ローマオープンで、優勝者・準優勝者が獲得できるポイントと賞金をご紹介します。
ATPツアー・マスターズ1000
ATPツアーの中で、ローマオープンはマスターズ1000大会に含まれます。優勝者には1,000ポイント、準優勝者には600ポイントが付与されます。また、2019年大会での賞金は、優勝者が958,055ユーロ、準優勝者が484,950ユーロでした。
なお、マスターズ1000とは、男子プロテニス協会「ATP(Association of Tennis Professionals)」が運営する大会です。「グランドスラム」「ATPファイナルズ」に次ぐ格付けの重要な大会です。マスターズ1000は、年間9大会行われます。モンテカルロを除くマスターズ1000の大会は、上位30位以内の選手(コミットメントプレーヤー)に出場義務があります(条件を満たせば、出場義務が免除される)。
WTA プレミアトーナメント
WTAツアーの中で、ローマオープンは「プレミア5」に含まれます。優勝者には900ポイント、準優勝者には585ポイントが付与されます。また、2019年大会での賞金は、優勝者が523,858ユーロ、準優勝者が261,802ユーロでした。
女子テニス協会「WTA(Women's Tennis Association)」が運営する大会のカテゴリーに「プレミアトーナメント」があります。その中でさらに、賞金額によってカテゴリーが3つに分かれています。
男子のATPツアー・マスターズ1000に相当するのが「プレミア・マンダトリー」で、その次の格付けとなるのが「プレミア5」です。プレミア5は、年間5大会あります。トップ10プレイヤーは、5大会のうち4大会に出場しなければなりません。
ローマオープンのシングルス歴代優勝者
マドリードオープンの、過去10年の優勝者をご紹介します。
男子
2019年-ラファエル・ナダル
2018年-ラファエル・ナダル
2017年-アレクサンダー・ズべレフ
2016年-アンディ・マレー
2015年-ノバク・ジョコビッチ
2014年-ノバク・ジョコビッチ
2013年-ラファエル・ナダル
2012年-ラファエル・ナダル
2011年-ノバク・ジョコビッチ
2010年-ラファエル・ナダル
女子
2019年-カロリナ・プリスコバ
2018年-エリナ・スビトリナ
2017年-エリナ・スビトリナ
2016年-セリーナ・ウィリアムズ
2015年-マリア・シャラポワ
2014年-セリーナ・ウィリアムズ
2013年-セリーナ・ウィリアムズ
2012年-マリア・シャラポワ
2011年-マリア・シャラポワ
2010年-マリア・ホセ・マルティネス・サンチェス
ローマオープンの名場面
現在はグランドスラムの4大会のみが5セットマッチですが、以前はマスターズ1000も5セットマッチで行われていました。5セットマッチだった2005年のローマ大会のことです。
ラファエル・ナダルとギレルモ・コリアが決勝まで進みました。当時まだ18歳ながら、好調ナダルでしたが、決勝戦では苦戦を強いられます。6-4、3-6、6-3、4-6ともつれた試合は第5セットに入り、ゲームカウント0-3でナダルは相手にリードを許してしまいます。
しかし、ここからナダルは力を発揮してタイブレークまで持ち込み、第5セットを7-6(6)で奪取。ローマオープンを制覇したのです。
試合時間は5時間14分に及び、総ポイントは190対188というわずか2ポイント差。いかに熱闘で接戦だったのかわかりますね。この年、ナダルは全仏オープンを含めて11個のタイトルを獲得しました。
ナダルにとって飛躍の年であり、それを象徴するような粘り強さが現れた試合だったのではないでしょうか。