【インカレ覇者直伝】テニスのダブルスの戦術「Iフォーメーション」を徹底解説
今回はテニスのダブルスの戦術、「Iフォーメーション」について2020年度全日本学生選手権ダブルス王者の柚木武さん・岡垣光祐さん(共に法政大学ご出身)に教えてもらいました。
ダブルスには様々な戦術があり、ポイント獲得パターンも人によって様々ですがその中でもIフォーメーションは基本戦術の1つです。
・Iフォーメーションを成功させる為の3ポイントを伝授
・勝負所で取りたいポイントを取れるようになる
・前衛が楽にファーストボレーを打てるようになる
・Iフォーメーションで打つべきサーブのコースが分かる
特にサーブが強い選手がIフォーメーションをマスターできれば、大きなアドバンテージになります。サービスゲームでIフォーメーションを決めることで余裕も生まれ、逆境でも相手にプレッシャーをかけて試合の主導権を奪い返すことも可能です。
ダブルスの戦術を知りたい、勝率を高めたい方は是非最後まで読んでみてください。
ダブルスのIフォーメーションで打つべきサーブのコース
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まず1つ目のポイントはサーブのコースについてです。前提条件としてIフォーメーションは基本的にファーストサーブで使う戦術になるので、リスクの高いフラットサーブは使わずスピンサーブ、スライスサーブで打つことで確率を高めましょう。
相手にどうリターンさせるかを考えてコースを決める
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ファーストサーブを相手にどうリターンさせるのかによって、返ってくるコースも絞られてくるので、それに合わせて狙うべきコースを考えます。柚木選手の場合は左利きであるため、センターへ逃げていくか、ワイドで相手に食い込む、もしくはボディ、相手の近くで返球させるようなサーブを打つとのことです。
つまりIフォーメーションでのサーブは、「このコースに打てばポイント獲得率が高い」というよりも、「相手のリターンのコースを限定させるために打つコースを考える」ということを意識してみましょう。
センターへ逃げるコースはクロスに流すことが多い
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センターへ逃げていく左利きのスライスサーブの場合、リターン側はストレート方向へ引っ張れない可能性が高いのでクロス方向へ流してくる可能性が高いです。リターンのコースを予測し、デュースサイドのサーブでは前衛の位置が右寄りになります。
前衛の岡垣選手をよく見るとサーブの直後に反対方向へ動くフェイントも挟んでおり、これも相手のリターンをクロスへ打たせる為の戦術です。
食い込むワイドのコースは詰まってストレート方向の返球が多い
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左利きのワイドサーブはスライス回転をかけることで相手へ向かって跳ねる形になるので、リターン側の打点が詰まりロブか、ストレート方向へ返ってくる可能性が高くなります。従って、前衛側もそれに合わせたポジションで構えるようにしてみましょう。
ボディの場合も打点が詰まってストレート方向が多い
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サーバーが左利きの場合、ボディへ打った場合もワイド同様に打点が詰まり、ストレート方向へのリターンが多いです。特に右利きのバックハンドでリターンさせる際はストレートへ流しやすいので、リターンのコースもより予測しやすくなります。
ただし、リターンする相手によってはフォアハンドでクロスに返球することが得意な場合もあるので、相手を見ながらサーブのコースを変えていくようにしましょう。
ダブルスのIフォーメーションにおける前衛のポジション
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Iフォーメーションにおける前衛のポジションは相手を惑わせるため、真ん中付近に立つことが基本です。その際にサーバーの邪魔になってはいけないので、前にしゃがんでスタンバイします。しゃがむ際の構え方は、自分が動きやすいように構えましょう。
前衛でのボレーは必ず1歩前に詰める
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前衛の動きに関して最も重要なのが、「前に1歩詰めること」です。1歩詰めることによって相手のリターンの打つ範囲を絞り、ボールを迎えにいくような意識でファーストボレーを打ちます。
そのため、前衛では1歩前に詰める分のスペースを空けて構えて、相手が打つ前にスプリットステップで逆方向に動く等のフェイントを入れるのも効果的です。相手がリターンを打つためにボールへ視線が集まったタイミングで、一気に出て打つようにしてみましょう。
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細かい立ち位置は状況に応じて変える
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前述の通り味方のサーブ次第で相手のリターンのコースも予測ができるので、その点を考慮してフォアサイドを少し空ける等の工夫もできるとポイント獲得率を高めることができるでしょう。
ボレーのコース
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Iフォーメーションでは3球目で決めることができるような戦術が基本です。前衛がボレーを打てる状況になれば、基本的にはコートの外に弾き出すようにしましょう。自分から前に詰めて打つ形になるので、打てるときは強気でボレーするように心掛けてみてください。
難しいコースは狙わない
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外に打つといってもミスショットでは意味がないので、難しいところは狙わず打てる方向に打ちます。ギリギリの深さを狙うというよりも、浅めに打つイメージです。角度はつけすぎず、サービスライン付近を狙ったボレーでもポイントは取れるので問題ありません。
ボディへのリターンは無理せず返球する
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相手のリターンが上手く、ボディ等に返球された場合はリスクを負わず返球する等の状況判断も重要です。ボディに差し込んだり、足元に沈み込むリターンは相手へ1本返球して自滅を回避しましょう。場合によってはセンターで相手と相手の間を狙うのも効果的です。
前に詰めなければ角度をつけて打つことができない
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飛んでくるボールにある程度の高さが無ければ、角度をつけたボレーはミスに繋がるリスクが高くなります。前に詰めてラケットの面を打ちたい方向にセットすることで角度もつけやすく、決定力のあるボレーを打てるので意識してみましょう。
まとめ
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今回お伝えしたダブルスの基本戦術、Iフォーメーションのポイントは以下です。
・サーブのコースは相手にどう返球させるかを意識する
・前衛は相手を惑わせつつ、前に1歩詰める
・3球目のボレーでは難しいコースを狙わず、浅く打って外に弾き出す
この3ポイントを意識しつつ具体的な狙うコース等は味方のサーバーの特徴を踏まえ、相手のテニスを見ながら選択しましょう。得意な戦術を確立することができれば、ダブルスの勝率も確実に高めることができます。